これまで、森雪之丞は作詞家として、日本の音楽界を作り出してきたプロデューサーやコンポーザーとともに稀代の作詞家として一時代を築き、数多くのアーティストとともにジャパニーズ・ポップスのフィールドに新風を巻き起こし、更にロック・アーティストの良きパートナーとして作り上げた楽曲作品はミュージシャンのみならずファンの間からも熱い支持を受け続けている。

そして自らの言葉のアートをより追求するために90年代に入り、新たな活動を始める…
「ポエトリー・リーディング」である。

これまで10年にわたってコンサート、イベント、作品創りなどにおいてミュージシャン、DJ、ダンサー、デザイナー、俳優、小説家、様々なアーティストとのコラボレーションを重ねてきた。ポエトリー・リーディングというフィールドでも新たな扉を開き続けてきた雪之丞。その世界にひとつの大きな変革をもたらしたのが “Act Against AIDS”と“岸谷五朗”だった。かねてから雪之丞の詩の世界に共感を抱いていた岸谷五朗氏の呼びかけで・・・

「これまでになかったパフォーマンスを武道館でトライしてみませんか?」

2001年12月1日の「世界エイズデー」に岸谷氏が発起人となり毎年開催されている武道館コンサートにおいて、そのベールは剥ぎ取られた。

まだイベントの1パートとしてのパフォームだったこの時の演目はいわば“タマゴ“のようなものだった。しかし、8000人の前で朗読された詩『西暦2001年の未来』はオーディエンスの心をしっかりと掴み、それは会場全体を包み込む感動の涙となった。その後、二人の武道館イベントでのコラボレーションによって孵化した作品は極上のエンタテインメントとして大きな翼を見事に羽ばたかせて行く。それから3年。毎年の武道館のイベントとリーディングコンサートの中で『詩人』として、更には『パフォーマー』として自らを磨くべく、新たなフィールドへと足を進めた。
そして、再び岸谷五朗とがっぷり四つに組み満を持してひとつのエンタテインメントとして解き放ったもの。
それが『POEMIX』だ!!



ただの朗読ではない。
もちろん芝居ではない。

ダンサーの躍動が時間の呪縛を解き、
ピアノの旋律が孤独の陰謀を打ち砕いたとき、

POEMIXは存在する。

2001年の岸谷五朗氏との初コラボから3年の月日が流れた年の瀬も押し迫った12月。生まれ変わったポエティック・ワールドを登場させる場として武道館から渋谷のパルコ劇場に舞台を移し世界初のポエム・エンターテインメントは開催された。
詩の朗読はもちろん、ダンスパフォーマンス、タップ、クラシカル・ピアノ、映像、ムービングライトetc…様々なアイテムがポエムと絡み合いひとつのエンタテインメントとして二時間に及ぶ空間を瞬く間に埋め尽くしてゆく。
斬新な台詞割り・奇抜なライティング、そして想像を絶する演出プラン。詩の朗読という普遍的「静」の世界を究極的「動」へと導くアイディアに、これまでの十年の活動に一度終止符を置き、新たなステージの扉を開けるべく導かれたといっても過言ではない。



前回公演から一年半の時をへて、ハイ・スツールにスタンドマイクそして片手に詩集というオーセンティックなスタイルで朗読されてきたポエトリー・リーディングをエンタテインメントとして生まれ変わらせるために決められたルールはひとつ「詩を読む」ことだけ。

「進化するからこそPOEMIX 同じものは2つと無い」

舞台という創り手にも観客にも独特の緊張感を与える生きもののなかに、裸で飛び込んだ雪之丞の挑戦の城門はある。その鍵はすでに解かれている。さらに扉を開け前に踏み出すために、これからも新たな詩を次々と生み出し続けてゆく。