YELL COMMENT

サクラパパオー そして塚田くんのこと

 私がいま“次回公演をもっとも楽しみにしている劇団”は「ラッパ屋」です。ラッパ屋は鈴木聡さんが主宰している劇団です。鈴木さんはラッパ屋の主宰者であると同時に劇作家で演出家で脚本家でコピーライターでコメディばっかり書いている人ですが、『サクラパパオー』は、その鈴木さんがラッパ屋の第15回公演として書いた芝居です。きっと好評だったのでしょう。第20回公演で再演されています。のみならず2001年にはPARCO劇場が取り上げ、それから16年の歳月を経て、いま再び……ですからねえ。「相当面白い芝居だ」と思ってもらっていいです。ところで塚田くんですが、塚田くんは身体能力が抜群なんです。動きが敏捷で間が良いワケなので、“コメディ向き”だと言えます。それに加えてあの“キュートな笑顔”と“天然”ですからねえ。きっと今回の『サクラパパオー』は史上最強の『サクラパパオー』になることでしょう。

山田和也(演出家/東宝演劇部所属)

お化け塚ちゃん

 殺意に関して話したことがありまして、塚田さんと。兵士の役だった塚田さんは、ある日、殺意というものがよくわかりません・・・と相談してきた。そこで、少し残忍な状況を例に挙げてみた。すると塚田さんは、想像するや否や、するすると涙を流しはじめた。・・・ピュア。ともかくピュア。ピュアにして、真摯に誠実に、そして笑顔で稽古に取り組む彼の姿勢やそのポテンシャルに、この人はいつか必ず化けると期待を膨らませていた。いつかというのは、ここ数年のうちにという想定だったのだけど、遥かに超える速さでその日は来た。最後の通し稽古。塚田さんが‘化けた’。一体何があったの?多忙を極め、寝る間もない中、レンタカーして実家まで帰り、小さい頃からの写真を全て見てきたらしい。その行為自体も感心だけど、アルバムを見返しただけで劇変しちゃえるその感受性に感服した。敬服した。金髪筋肉塚ちゃんです?それはそうなのだろう。だけどそこに、カッコでこう付け足したい。(役者としてもすごいです!)。役者塚田僚一のこの先が、楽しみでなりません。そして当然、またご一緒したいです、塚ちゃん。

ノゾエ征爾(俳優・脚本家・演出家)

 『サクラパパオー』は2001年版を拝見しましたが、舞台上で起こる小さな奇跡に感動したのを覚えています。鈴木聡さんが描く人たちは、真面目で一所懸命。
愛おしくて、おかしくて、楽しくて、優しい気持ちになるんです。そして「私もがんばろう!」という希望も与えてくれる。それを味わいたくて、20年近く観続けています。

女優・岡江久美子

 2001年、34歳のとき、小説を書くことに悩んで、恋愛もうまくいっていなくて、思い描いていた大人じゃないと落ちこんでいた。『サクラパパオー』を観て、なんだかぜんぜんだいじょうぶだ私、と思った。
50歳の今の私が見ても、おんなじように思うはずだ。

作家・角田光代