96年に初演し、黒柳徹子が第38回毎日芸術賞と、第4回読売演劇大賞の大賞、最優秀女優賞を受賞した名作「幸せの背くらべ」がこの秋、還ってきます。 「幸せの背くらべ」(原題:THREE TALL WOMEN)は、アメリカを代表する劇作家エドワード・オールビーが自身の母親をモデルに創作し、94年ピュリツアー賞を受賞した傑作戯曲。日本では高橋昌也演出、黒柳徹子主演で96年 に銀座セゾン劇場で初演し、好評を博して、97年に同劇場で再演、以来「劇団NLT」公演として、全国各地で隔年上演を続けてきており、今回はリクエストに応えて、久々の銀座での上演となります。 黒柳徹子が演じるのは、92歳の大金持の未亡人。彼女は美人の誉れが高かったせいか、傲慢で手がつけられない。夫人の世話をする中年女性と、弁護士事務所から派遣されたらしい若い女性は、それに辟易しながらも面倒を見ている。そんなある日、夫人は発作を起こしてしまう。すると、この“三人の女性”のもう一つの世界が現れはじめる…。 思いもよらぬ演劇的仕掛けで、笑いの中から赤裸々な人間の姿を紡ぎ出していく本作品。愛、結婚、不和、老いが語られ、やがて癒しに満ちた瞬間へと誘われることでしょう。いかに老い、いかに死ぬか、私たちが決して避けて通ることの出来ないテーマを問う、珠玉の名作です。 出演は大金持の92歳の未亡人Aの黒柳徹子が特殊“老け”メイクで大奮闘するほか、中年女性Bにミュージカル「レ・ミゼラブル」や「エリザベート」「モーツアルト!」でも強烈な印象を残した阿知波悟美。若い女性Cには劇団NLTの注目の新進女優で、銀座セゾン劇場で上演した黒柳徹子の喜劇シリーズ「マダム・バブル」や「カラミティ・ジェーン」で黒柳の娘役を演じた真堂藍が扮します。三人の絶妙なハーモニーが感動を呼ぶことでしょう。 さらに初演にも出演した青木要が共演します。 人生の最高に幸せな時はいつなのか…、 あなたにも問いかける「幸せの背くらべ」。 心に響く舞台に、どうぞご期待下さい。 |
![]() 舞台はニューヨーク郊外とおぼしき大邸宅の豪華なベットルーム。 そこに、三人の大柄な女性がいる。一人はこの家の主で、とても高齢だが裕福で独善的な未亡人A(黒柳徹子)。一人は彼女の世話をするために雇われた中年女性B(阿知波悟美)。そしてもう一人は未亡人の弁護士事務所から派遣されてきた若い女性C(真堂藍)である。先程から老婦人の思い出話が際限なく続いている。それは死んだ両親や夫のこと、家出してしまったひとり息子(青木要)のことなど、自慢話や愚痴話。とぼけているのか、呆けているのか、自分の年齢さえ定かではない老婦人のとめどない長広舌に、弁護士からの要望を伝えにきた若い女性は焦燥を隠せない。 爆発寸前の彼女を中年の女性が押しとどめ、そっと囁く。「もし、あなたもこの人のように必要とされないほど長く生きてしまったら…」 その時未亡人が発作を起こす。ただちに延命措置が施されるが…。 第二幕 未亡人がベッドで酸素マスクを付けて寝ている。どうやら一命は取りとめた様子。そこへ先ほどの中年女性と若い女性が現れるが、全く様子が違う。 そして、もう一人の女性が登場。どうやら、この三人の女性は未亡人の人生の三つの時期、若かった26歳の時、女盛りの52歳の時、そして、何歳か、もしかすると死まで体験したかもしれない不思議な年齢を現しており、三人で一人の女性の人生を語っていることがわかる。三人は思い思いに過去、現在、未来を思い描き、問いただし、懐かしみ、肯定、否定しながら「人生の最高に幸せなとき」を問いかけていく。 |
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A | 黒柳徹子 |
B | 阿知波悟美 | |
C | 真堂藍 | |
若い男 | 青木要 | |
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作 | エドワード・オールビー |
訳 | 丹野郁弓 | |
演出 | 高橋昌也 | |
美術 | 朝倉摂 | |
照明 | 沢田祐二 | |
音楽 | 大江光 | |
音響 | 深川定次 | |
衣裳 | 黒須はな子 | |
ジュエリー・デザイン 森暁雄 | ||
特殊メイクデザイン 江川悦子 | ||
舞台監督 | 臼田典生 | |
演出助手 | 北澤秀人 | |
制作 | 大竹正紘・塚原純江・小川浩・田中希世子 | |
製作 | 伊東勇 | |
企画・制作 | 株式会社パルコ/劇団NLT | |
製作 | 株式会社パルコ |
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