STORY

舞台は上海。
この街を支配する中国の不思議な役人は、不死なる存在と噂されていた。
しかし中国の不思議な役人には唯一「死」を迎えられる方法があった。
それはまことの「愛」を知ること。
何人も愛さない、愛せない役人はすでに死を忘れて数百年が立つ。
少女花姚(かちょう)は兄・麦とはぐれたところを人攫いにさらわれて、娼婦館に売られる。
男を知らない花姚は西瓜男に娼婦訓を叩き込まれている。
そこで出会った中国の不思議な役人と花姚。役人は花姚を求めるが、少女の愛を験すために花姚を人形のように弄ぶ。だから花姚を救いにきた兄の麦が首を刎ねても死なない。しかし、次第に花姚が役人を無垢な心で愛しはじめる。
死ぬために愛を求め続けた中国の不思議な役人。しかし、愛を知った瞬間に生きることに目覚めるのだが、それが自分の死の瞬間なのであった・・・。

世界の歴史の暗黒的側面は殺戮の歴史であるといっても過言ではありません。
それはイデオロギーの相違における戦いであったり、土地の奪い合いであったり・・・。
この役人の存在は、もしかしたら、世界の「歴史」そのものなのかもしれません。
その「役人」の「死」は「愛」によってなされ、そしてあらたな「歴史」を再生していくこの物語。もしかしたら、「無垢な愛」が、「変革」する力の源なのかもしれません。