言葉と音楽の巨匠たちによる 奇跡のコラボレーション

ザ・ポエット・スピークス

ザ・ポエット・スピークス THE POET SPEAKS キンズバーグへのオマージュ 6月4日(土) 14:00開演/19:00開演 会場…すみだトリフォニーホール

ザ・コンプリート・エチュード

ザ・コンプリート・エチュード THE COMPLETE ETUDES 6月5日(日) 15:00開演 会場…すみだトリフォニーホール

Introduction

巨匠フィリップ・グラス 11年ぶりの来日公演パティ・スミス、村上春樹らとの豪華コラボレーションが実現する 「THE POET SPEAKSキンズバーグへのオマージュ」また、フィリップ・グラスによるピアノパフォーマンスの集大成
                    「THE COMPLETE ETUDES」も上演!

フィリップ・グラス | PHILIP GLASS

<プロフィール>
「現代最高の音楽家(米サンフランシスコ・クロニクル紙)」と称される。1976年、舞台芸術界の伝説的作品『浜辺のアインシュタイン』発表。以降、オペラ、ダンス、映画からオーケストラ楽曲に至るまで活動は多岐に渡る。これまでデヴィッド・ボウイ、ミック・ジャガー、ベックなど彼の作品を敬愛する音楽家との多くのコラボレーションでも知られる。2012年高松宮殿下記念世界文化賞、2015年芸術のノーベル賞と称されるグレン・グールド賞受賞。映画音楽の代表作にダライ・ラマ14世の半生を描いた映画『クンドゥン』、『美女と野獣』等。2005年、自身のアンサンブルとともに来日。愛知万博でも3日間に渡り公演を行う。オペラ作品に、ガンジーの非暴力主義を扱った『サティヤグラハ』、ウォルト・ディズニーの人生最期の日々に光をあてた『ザ・パーフェクト・アメリカン』等。2011年東日本大震災発生の際には、ルー・リードらとともに、ニューヨークで行われた12時間に及ぶチャリティコンサート「CONECERT FOR JAPAN」に参加した。79歳を迎えた今もその活動はとどまるところを知らない。

ザ・ポエット・スピークス THE POET SPEAKS キンズバーグへのオマージュ 6月4日(土) 14:00開演/19:00開演 会場…すみだトリフォニーホール 出演: フィリップ・グラス(Piano) パティ・スミス(Vocal &  Guitar) レニー・ケイ(Guitar) 翻訳(新訳):  村上春樹、柴田元幸 オープニングアクト:ジェシー・スミス/テンジン・チョーギャル 演奏予定曲:「FOOTNOTE TO HOWL」「WICHITA VORTEX SUTRA」「PEOPLE HAVE THE POWER」 他

音楽家・詩人にして“パンクの女王”パティ・スミスと、現代音楽最高の巨匠フィリップ・グラスの競演作。村上春樹、柴田元幸が訳詞を手掛ける日本特別版。

「THE POET SPEAKS ギンズバーグへのオマージュ」は、パティ・スミス、フィリップ・グラスが深い親交を持ち、今年生誕90周年を迎えるビート詩人アレン・ギンズバーグに捧げられた作品。海外では限られた機会にのみ上演され、過去全ての公演が瞬く間にソールドアウトを記録してきた話題作が遂に初来日を果たす。

フィリップ・グラスの代表曲にのせて、パティ・スミスがギンズバーグと自身の詩を朗読する他、ファンには嬉しいパティの弾き語りや、フィリップのピアノ独奏も含む豪華な内容。

さらに日本での上演は、村上春樹、柴田元幸が劇中朗読されるアレン・ギンズバーグとパティ・スミスの詩の完全新訳を手掛け、舞台上の大スクリーンに在りし日のギンズバーグの写真やイラストともに投影される。

パティ・スミスさんのこと 村上春樹

僕が数年前にベルリンで何かの賞を受けたとき、授賞式にパティ・スミスさんがわざわざ飛行機に乗って来てくれて、お祝いのギター弾き語りをしてくれた。主宰したドイツの新聞社の人に「またどうして?」ときいたら、「声をかけてみたら喜んできてくれた。自分のマイレージで切符を買うから交通費はいらない。そのかわりブレヒトがベルリンで定宿にしていたホテルの部屋をとってくれ。それが彼女の出した唯一の条件だった」ということだった。  式のあとで二人でご飯を食べながらいろんな話をした。ずいぶん不思議な人だった。まるで地上から数センチだけ浮かんで生きているような人だ。今回、来日する彼女のために、彼女とアレン・ギンズバーグの詩の翻訳ができることを、僕としてはとても嬉しく思う。彼女の鋭くタフなヴォイスに負けないような翻訳ができるといいのだけれど。

アレン・ギンズバーグ | ALLEN GINSBERG

ビート文学を代表する詩人にして、カウンター・カルチャーの強力なアイコン。世界で最も広く読まれる詩人のひとりで、代表作「HOWL (邦題:吠える)」はこれまで22言語で出版されている。個人の行動や創造が、文学や音楽を通じて大きな力となり、社会を変えていく「ムーブメント」の体現者でもあった彼は、ボブ・ディラン、ジョン・レノン、ジョニー・デップ、ジョー・ストラマー(THE CLASH)ら、彼を敬愛する多様なアーティストと交流を持った。

パティ・スミス

パティ・スミス |
PATTI SMITH

21歳の時ニューヨークへ渡り、後の写真家ロバート・メープルソープと出会う。朗読を行う詩人としてステージに立ちはじめ、後にギタリストレニー・ケイらとパティ・スミス・グループを結成。メープルソープがジャケットを撮影したデビュー作『Horses』をはじめ4枚のアルバムを発表。1979年、デトロイトへ移住。表だった演奏活動からは退く。フレッド・スミスと結婚し、アルバム『Dream of Life』をともに製作するも、94年フレッドは病のため急逝。失意の中、ボブ・ディラン、アレン・ギンズバーグらの励ましをうけ、1995年新アルバム『Gone Again』とともに活動を再開。過ぎた時間や死への瞑想とも評された同作は、高い賞賛を受ける。2011年ポーラー音楽賞受賞。社会活動にも強い関わりを持ち、反戦運動をはじめ、様々な人権擁護団体の活動にも参加する。2013年来日時には被災地も訪れ、『Fuji-san』と名付けられた曲を演奏。ツアーを通じて集めた募金を東北へ寄付。また映画監督河瀬直美の呼びかけに応じ、「People Have the Power」の歌詞を静かに読みあげた3分11秒の映像を送るなど、復興支援に尽力した姿も記憶に新しい。

翻訳者プロフィール

村上 春樹 | HARUKI MURAKAMI

1949(昭和24)年、京都市生まれ。79年『風の歌を聴け』(群像新人文学賞)でデビュー。主な長編小説に、『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞)、『ノルウェイの森』、『国境の南、太陽の西』、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』、『1Q84』(毎日出版文化賞)、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』がある。『神の子どもたちはみな踊る』、『東京奇譚集』などの短編小説集、エッセイ集、紀行文など著書多数。スコット・フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』、レイモンド・カーヴァー『英雄を謳うまい』、トルーマン・カポーティ『ティファニーで朝食を』、J・D・サリンジャー『キャッチャー・イン・ザ・ライ』をはじめ、翻訳も数多く手掛ける。著書を原作とした舞台、映画に、舞台『海辺のカフカ』(演出・蜷川幸雄)、映画『トニー滝谷』(監督・市川準)、『ノルウェイの森』(監督・トラン・アン・ユン)など。海外での受賞も多く、2006年フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞、2009年エルサレム賞、2011年カタルーニャ国際賞、2014年ヴェルト文学賞を受賞。

柴田 元幸 | MOTOYUKI SHIBATA

1954年生まれ、アメリカ文学研究者、翻訳家、東京大学文学部特任教授。ポール・オースター、スチュアート・ダイベック、レベッカ・ブラウン、ブライアン・エヴンソンなど、現代アメリカ文学を数多く翻訳。 『生半可な學者』 (白水Uブックス)で講談社エッセイ賞、 『アメリカン・ナルシス』(東京大学出版会)でサントリー学芸賞、トマス・ピンチョン『メイスン&ディクスン』(新潮社)訳で日本翻訳文化賞受賞。近刊にスティーヴ・エリクソン『ゼロヴィル』(白水社)、レアード・ハント『優しい鬼』(朝日新聞出版)、スティーヴン・ミルハウザー『ある夢想者の肖像』(白水社)。その他の著書に『アメリカ文学のレッスン』(講談社現代新書)、『ケンブリッジ・サーカス』(スイッチ・パブリッシング)、『つまみ食い文学食堂』(角川文庫)、『死んでいるかしら』(日経文芸文庫)など。文芸誌「MONKEY」(日本語)、Monkey Business (英語)責任編集。

ザ・コンプリート・エチュード THE COMPLETE ETUDES 6月5日(土) 15:00開演 会場…すみだトリフォニーホール 出演:フィリップ・グラス(Piano) 久石譲(Piano) 滑川真希(Piano) 演奏予定曲:「Etude 1-20番」 ※こちらの公演にはパティ・スミスは出演いたしません。

フィリップ・グラスが自身のピアノ楽曲の集大成として90年代より作曲に取り組んだピアノ・エチュード20曲全てを演奏する貴重な演目。今年79歳を迎え、2005年以来11年ぶりとなる待望の再来日を果たすグラスのピアノパフォーマンスの真髄がここにある。

毎回開催地のピアニストと共演する形がとられ、2014年発表のフィリップ・グラスのアルバム「The Complete Piano Etudes」で、全曲演奏を担当したオーストリア在住のピアニスト滑川真希をはじめ、久石譲の出演も決定。最高の布陣でおくるピアノ・コンサートとなる。

久石 譲

久石 譲 |
JOE HISAISHI

1950年、長野県出身。国立音楽大学在学中よりミニマル・ミュージックに興味を持ち、現代音楽の作曲家として出発。84年の映画『風の谷のナウシカ』以降、『風立ちぬ』(13)まで宮崎駿監督の全作品の音楽を担当。その他、滝田洋二郎監督『おくりびと』(08)、李相日監督『悪人』(10)、高畑勲監督『かぐや姫の物語』(13)、山田洋次監督『小さいおうち』(14)など国内外の数々の映画音楽を手掛ける。2001年、映画監督として初メガホンをとり『Quartet カルテット』を製作し、日本初の音楽映画としてモントリオール映画祭のワールドシネマ部門正式招待作品に選ばれた。演奏活動においては、ピアノソロやオーケストラなど様々なスタイルを披露。近年はクラシックの指揮活動のほか、現代の音楽の作品を手掛ける。「MKWAJU」(81)から「WORKS Ⅳ -Dream of W.D.O.-」(14)まで多数のソロアルバムを発表するなど、活躍の場は多岐にわたる。国立音楽大学招聘教授。09年紫綬褒章受章。

滑川 真希

滑川 真希 |
MAKI NAMEKAWA

2014年発表のフィリップ・グラスのアルバム「THE COMPLETE PIANOETUDES」では、20曲全ての演奏を担当、同作はiTunesクラシック部門第1位を獲得、また2015レジェンドCDアルバムベスト50にランキングされ、マリア・カラス、ヨー・ヨー・マ等と名を並べた。同じく2015年にはイギリスのBBC音楽誌のCD評でパフォーマンス並びに録音質の2分野で最高点を取得し、絶賛を受けた。2013年、グラスとともにピアノ・エチュード全20曲を初演。ソリストとしてもニューヨークのカーネギー・ホールでの演奏デビューを果たした他、リンカーン・センター・フェステイヴァルにてエイヴリー・フィッシャー・ホール、ウイーンの楽友協会大ホール、パリのシテ・ド・ラ・ムジーク大ホール、アムステルダムのコンセルトヘボー大ホール、ドイツのミュンヘン・ガスタイク大ホール、ロンドンのバービカン・センターなど世界有数のコンサートホールに出演している。同じくソリストとしての共演に、米カーネギー・ホールでのアメリカン・コンポーザーズ・オーケストラをはじめ、シアトル交響楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、リンツ・ブルックナー管弦楽団、バンベルグ交響楽団など多数。デニス・ラッセル・デイビスとのデュオとしても2005年から欧米各地で演奏を継続し、フィリップ・グラスが2人の為に作曲したFourMovements for Two Pianosを世界初演した他、Two Movements for Four Pianosも、ピアノデュオ・ラベック姉妹との共演で世界初演している。

Introduction

著名人の皆様より、公演に寄せてエールコメントを頂きました。

  • フィリップグラスの、美しく配列され反復されながら徐々に拡大/縮小していく音の模様に、僕は時間の感覚を忘れてしまいます。
    来日公演、たのしみにしています。

    小山田 圭吾

  • THE POET SPEAKS
    フィリップグラスのピアノでパティスミスがギンズバーグを詩う。。。
    人生でこんな瞬間が訪れるなんて。。
    ”まるでクリスマスと誕生日が一緒にきたみたい”
    いや、それ以上に奇跡的で感動的だ。

    NOBUHIKO KITAMURA(HYSTERIC GLAMOUR)

  • 以前パリのショーでパティにポエトリーをやってもらったり、フィリップグラスの永遠反復する一曲のみのショーもやりました。
    2人から感じる美しい景色にいつも影響を受けています。
    来日公演本当に楽しみにしています。

    高橋 盾 (UNDERCOVER)

  • パティ。
    数年前にParisのバタクランで観たライヴが忘れられません。people have the power。
    またバタクランでパティを観たいです。強くて美しいパティを。

    宮下 貴裕 (TAKAHIROMIYASHITA The Soloist.)

  • ビート文学というのはカウンターカルチャーだとか、ヒッピーの元祖だとか、アメリカ文学の正当な後継者だとか、難しい言葉で語らなくても、その生き方や言葉を見れば、真っ当な若者ならばいかにそれが世界に影響を与えたか分かると思う。ビートの巨人ギンズバーグの詩をその後継者であるスミスが読み、ミニマル音楽の巨人グラスが音を奏でる。バトンの繋ぎ手として若者こそが来るべきだと思う。Be There Now

    野村 訓市

  • すべての芸術は人間の自由の為にある。
    歴史の傍観者から当事者になる覚悟は生まれたか。
    抵抗するは今。PEOPLE HAVE THE POWER

    桑原 茂一(選曲家)

  • 70年代半ばからギンズバーグの住処であったニューヨークのアパート、通称「ポエッツ・ビルディング」での詩人と音楽家の交流を持ち出すまでもなく、詩と音楽は互いに影響を及ぼしあっていた。
    現代にこそ痛烈に響くギンズバーグの詩、パティ・スミスの朗読とフィリップ・グラスの演奏という今回の公演は、そうした言葉と音楽の相互作用を体感するのに最上の組み合わせだ。
    村上春樹と柴田元幸の手になる翻訳が引き起こす、さらなる化学変化にも期待が膨らむ。

    青野 賢一(ビームス創造研究所クリエイティブディレクター)

  • つい先日古本屋の軒先で『聲』という本を見つけた。著者川田順造。書き出しはこう。「声の生命は、発し終えられた瞬間に、何の痕跡ものこさずに消えてしまうところにある。声を発することが、イヴェントになりうるのは、そのためだ。ことばは元来声であり、文字はことばから声を、息を消し去ったから、空間に固定されて持続性を獲得したのだ」。何の因果か翌日このコメント依頼が届いた。この「イヴェント」にこれ以上ふさわしい言葉はないと即座に思った。

    若林 恵 『WIRED』日本版編集長

  • はじめてアレンに会ったのは、66年NY、サイケデリックの嵐が吹き荒れているときだった。BE-INでは手風琴を片手にマントラを唱え、ベトナム反戦ではペンタゴンへの呪いを詠唱した。アレンに自分の詩が日本語でどう訳されているかと尋ねられたことがある。意味ではなく、詠唱してこそのものなのだ。ビートから狂気の知恵のチベット仏教へと駆け抜けた時代のシャーマン、ことばの呪術をもって世界を開いて見せたのだ。「雨粒ひとつ、宇宙が始まる……」と。

    おおえ まさのり (作家・映像作家)

  • フィリップ・グラスとの出会いはポール・シュレイダー監督の『MISHIMA』という映画である。効果音の中に繰り返しのメロディが重なっていく…聞いた事のないサウンドに心がざわつき名前を調べ日記に記した。真骨頂はスティーブン・ダルドリー監督の『めぐりあう時間たち』(=原題The Hours)だ。この映画のもう一本の脚本と言ってもいいほど、映画の中の人物の心のざわめきが波のように押し寄せて来て、確実にのみ込まれてしまった。

    柴田元幸さんが訳されたポール・オースターの小説「幽霊たち」を読んで以来、柴田さんの名前で本を手に取るようになった。柴田さんの語られていた言葉で忘れられないのが「ポール・オースターを訳す時にいつも考えるのは人間はらっきょうか梅干しかという事です。むいてむいてむいていくと、核となる何かが残るのか、それとも残らないのか」である。そんな探求をしながら作品に向き合っているからこそ、あの翻訳が生まれるのだと心に刻んだ。

    ギンズバーグの詩を初めてつぶやいた時、すべての表現は「HOWL(=咆哮)」だと知ったのだ。

    ギンズバーグのためのピアノをグラスが弾き、柴田元幸さんの翻訳で彼の詩を聞けるなんて、興奮して心が抑えられない。まさに、このセッションこそが、私の敬愛する人たちの奏でるHOWLなのだから。

    三島 有紀子 (映画監督)

  • あの頃アレンの詩集を携えて、たくさんの僕たちが旅をしていた。
    時代から社会から、腐った政治から壊れた家からオサラバして、真の自由、真の自分を探して旅をしていた僕らにとって、彼の詩は魂のBGM、心のロードマップ、そしてガソリンだった。
    そして今、すべてが崩れかけたバビロンのようなこの都市に、あのろくでなしの聖者、アレンの言葉が甦るという。迷子のような毎日に旅する心も持てずにいる若者たちの前に。ネオンの迷路を断ち切りひとりでも旅立とうとする勇気ある明日のビートニクの前に。お帰り、アレン!
    そいつはなんて素晴らしいことだろう。そうさ、Beat Goes On !合言葉はいつも!!

    室矢憲治 ムロケン( Bohemian Cafe Poet )

  • ぼくたちはみんな、ギンズバーグの子どもたちだ、と思っています。
    ギンズバーグが「the best minds my generation!」と詠んだ新しい精神。
    それはつまり、気づいている精神であり、
    地球を畏怖し、人類を憐れむ精神であり、
    還元主義的機会論と拝金主義で行き詰った近代に、
    疑問符を投げかけるポスト・モダンの精神であり、
    核兵器の存在に恐れおののく精神であり、
    西洋において東洋を再評価した精神であり、
    ヒッピーと呼ばれる世代に引き継がれた精神であり、
    地球をガイアと呼ぶ感性を備えたニューエイジの精神であり、
    世界中の虐げられた、マイノリティの涙に胸を痛める精神であり、
    路傍の花の蕾が開く、音にそっと耳を澄ませる精神であり、
    W.W.W.(ワールド・ワイド・ウェブ)
    のシナプスで繋がるグローバル・ブレインを夢想する精神です。
    そんなオルタナティブな精神を、21世紀に引き継ぐぼくたちは、
    みんなギンズバーグの子どもたちだ、と信じています。
    だからぼくたちにとって、6月4日(土)にTHE POET SPEAKSが行われる東京・すみだトリフォニーホールは、特別な日の特別な場所になるはずです。
    Be In The Right Place At Right Time!!

    くしだ ひろゆき(編集者・Whole Earth Project Inc.代表)

  • 中学生の頃、パティ・スミスの「Babelogue」を聴いた。詩がこんなにもエモーショナルだということに鳥肌の立つような戦慄を覚えた。パティ・スミスと、ディラン、ケルアック、ルー・リード、ボウイ、バロウズ、ジム・キャロル、クラッシュらを結びつけていたのは、アレン・ギンズバーグ。そして、もっともエモーショナルなミニマリスト、フィリップ・グラス。音楽の力、言葉の力が必要とされているいまこそ。

    畠中 実(キュレーター/美術・音楽批評)

  • 結局なんだかんだ、アレン・ギンズバーグが一番凄いんだと思う。文学だけじゃない、カルチャー全体にとっての中心点、北極星のような存在。パティとハルキが繋がっているのもきっとアレンのお導きだろう。英語の「HOWL」と日本語の「吠える」の発音が似ている/韻を踏んでいるのも必然な気がしている。

    稲田浩(ライスプレス)

  • 十代の頃に耽溺したかの人が四十年ぢかく経って有為転変、いろんなことが変わり、また、相変わらずなこともあるなかで、どんなことを言うのか、どんな表現をするのか、目を凝らし、耳を澄まして、なにも見逃さず、なにも聞き洩らさないようにしたいと思います。それを同時に日本語として読むことができるというのも稀有なことで、今後ないような体験になるのではないかといまからガクガク頭を前後に揺らして涎を垂らしてまるで阿呆のようです。

    町田康(小説家)

  • ピアノと声、この削ぎ落とされた場から呼びかえされるギンズバーグのことば。もう何十年も前の。でも、いまそのことばが合衆国に必要だから、そしてもっと世界に届くべきとフィル・グラスが、パティ・スミスが意志するから。

    目指してきたもの、試みてきたものは異なっている。でも、ひとつところ、何かが自らの内にあって、それを外にだそうと、ひとに伝えようとする。その行為が表現で、表現することについての敬意を互いに肯定しあう−−−その2人がギンズバーグをとおして手をつなぎ、さらに新たな表現を生みだす。

    そう、グラスが20年かけて書きついできたもうひとつの、ひとりきりで音楽することによる到達点、《ピアノ・エチュード》全曲も聴き損じてはなるまい。けっして。

    小沼純一(音楽・文芸評論家)

  • 6/4がヤバい。ギンズバーグの詩がいっそうリアルに響くこの状況で、フィリップ・グラスのピアノ、パティ・スミスのリーディング。鎖国的になってしまった日本の扉をノックするのは、やっぱり芸術家だ。

    いとうせいこう