Story

 引退した音楽家が集まる老人ホーム。シシー(阿知波悟美)、レジー(団時朗)、ウィルフ(鶴田忍)はかつてのオペラ仲間。豊満で天真爛漫、優しいシシー。知的で冷静沈着なレジー。お調子者で陽気なムードメーカーのウィルフ。しかし、シシーは近頃認知症の症状が見え隠れし、子供の頃住んでいたインドでの記憶と現実を行ったり来たり。ウィルフは一見下品で女好きだが、実は亡くなった妻を一途に思っている。レジーは淡々と読書をしながら静かな日々を過ごしていたが、そこに、昔4人で「リゴレット」を唄った時のプリマドンナ、ジーン(黒柳徹子)が入所してきたことで心が乱れ始める。2人はその昔「9時間だけ!」夫婦だった。レジーは結婚式の夜に自分を捨てて出て行ったジーンのことがトラウマになっていたのだ。人気絶頂で舞台を去り、レジーを捨てて何度も結婚を繰り返したジーンも今は孤独。過去の栄光にすがりながら、彼らがいるホームへとやってきたのだった。そんな折、作曲家ヴェルディ生誕を記念するホームでのコンサートで、「リゴレット」の四重唱を披露しようという話が持ち上がる。盛り上がる他の3人をよそに、唄うことを頑なに拒否するジーン。実は彼女、引退後30年間一度も唄ったことがなかったのだ。
 それぞれの問題や思いを抱えながら、もう一度輝いていた自分たちを取り戻そうと奮闘する4人。彼らは再び「リゴレット」を披露することができるのか!?


~第1幕~
16世紀、舞台はイタリアのマントヴァ、公爵の館。好色な領主マントヴァ公爵は、モンテローネ伯爵の娘をたぶらかしたばかり。公爵に怒りをぶつける伯爵に対して、公爵に仕える道化師リゴレットは伯爵を笑いものにする。いつも人を嘲笑する役のリゴレットは、他の家臣たちからも恨まれていた。伯爵は「父親の苦悩を笑うお前は、呪われよ」と言い捨てます。内心、焦るリゴレット。実はリゴレットには、隠し育てていた一人娘がいた。
 これも運命か、リゴレットの娘ジルダは、教会でマントヴァ公爵と出会ってしまう。貧しい学生だと嘘をついてジルダに接近する公爵。世間知らずのジルダは、すっかり恋に落ちてしまった。
 このとき、リゴレットに恨みを持つ公爵の家来たちは、リゴレットが「愛人」を囲っているという噂を聞き、それなら、その女を公爵の館に誘拐してきて、道化師リゴレットをいつもとは逆に笑いものにしてやろうと企てる。そして見事、この誘拐は成功する。

~第2幕~
事情を知らないマントヴァ公爵は、家来たちがジルダを館に連れてきたのを知って喜ぶ。その後、娘がさらわれたことに気づいたリゴレットも、公爵の館にやって来る。そこで父娘は再会。ジルダは父に、恋に落ちたのは事実だが、昨夜、不意にさらわれて恥ずかしい思いをしたと泣きながら説明する。リゴレットの怒りは公爵へ向けられ、彼は殺意を抱く。

~第3幕~
田舎の居酒屋。その中でマントヴァ公爵は、今度は殺し屋スパラフチーレの妹マッダレーナに手を出している。未だ公爵への恋心を捨てきれないジルダに、リゴレットはその姿を外から覗かせ、諦めさせようさせる。マッダレーナを口説く公爵、色目を遣ってその気にさせるマッダレーナ、外から覗いて嘆き悲しむジルダ、娘の名誉のため改めて復讐を誓うリゴレットの4人が四重唱を唄う(「想い出のカルテット」の4人が唄おうと奮闘する曲がこの四重唱)。その上でリゴレットはスパラフチーレに大金を渡し、公爵の殺害を依頼する。嵐の吹き荒れる夜、スパラフチーレが殺害の準備に入ると、公爵に恋をした妹マッダレーナが殺害を止めるように訴える。金をもらったので誰か身代わりが必要だというスパラフチーレの言葉を、壁穴から秘かに聞いてしまったジルダは、自らが身代わりになることを決意する。
リゴレットはスパラフチーレから公爵の死体が入っている袋を受け取り、中を確認して驚愕。そこには自分の愛娘の姿があった。呪いが現実となった。

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