サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ

MESSAGE

-6月2日稽古場記者会見より-

宮本亜門

◆通算4作目、敬愛するソンドハイムのミュージカル◆

『サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ』は、ジョルジュ・スーラという31歳で世を去った、印象派後期の画家のミュージカルです。私はブロードウェイで初演を見ました。一幕がパリ、二幕が現代に移ります。アーティストの生き方、アーティスト以外の人の生き方、人が何を求めて生きているのか、それぞれが違う、だけどそれぞれをどうやって認め合っていくかという、すごく今の時代に合ったテーマだと思います。もしも現実に疲れてしまったり、悩んでる方がいらしたら……ここは病院じゃないんですけど(笑)、いい時間が過ごせて、ほんとうに心が清らかになれる作品ですので、あらゆる方に見てほしいという気持ちでいっぱいです。

ミュージカルの作曲家はたくさんいますけれども、ソンドハイムは特別というか、ちょっと変わっている人間です。ミュージカルの楽しさというよりも、人間の持っている内面、心の襞を徹底的に音楽に引き出せる人で、ミュージカルだから歌っているんだけれども、見終わった後はまるで演劇を見たような感動を覚えます。でも演劇とまた違うのは、音楽がじつに、奥の繊細なところまで衝いてくるところ。台詞では表現できないものを表に出してくれる、という点ではやはり特別な作曲家だと思っています。ソンドハイムのように「生きるか死ぬか、なぜ生きているか」というテーマをこれほど多く扱っている作曲家は、ほかにいないんじゃないでしょうか。

戸田さんは薔薇座のときから、舞台は必ず拝見していました。作品に入っていくとガーッと熱い思いで没頭していくところは、私とちょっと近いです。あんなに小さい細い体で、よく次々と新たな作品に挑戦しているな、と勇気付けられています。そういう意味で戦友のような気持ちでいる大切な女優さんです。今回は突然決めて急に入れ込んだんですが、やっとご一緒できます! 『サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ』はソンドハイムの中でもかなり難しい作品ですが、難しくなく、戸田流に、そしてキャスト全員が自分流に、存分に味わって演じてもらえればと思います。PARCO劇場というタイトな空間で、そんなみなさんの息吹や細かい感情、繊細なところを見ていただけるというのは、とっても嬉しいことなんです。

石丸幹二/スーラ、ジョージ 二役

◆今だからできることを、「白」の状態で挑戦したい◆

私は一幕では19世紀フランスの画家ジョルジュ・スーラ、二幕ではその曾孫にあたる美術家ジョージの役を演じます。宮本亜門さん、戸田恵子さんをはじめ、みなさんとこうやって一緒に仕事ができることをずっと楽しみにしておりました。実はソンドハイムの作品を歌うのは初めて、PARCO劇場での芝居も初めて、初めてづくしです。作品の中でジョージは、キャンバスを色の「白」にたとえているんですけれども、自分の心情も今、頭の中も心も白、真っ白。この状態で果敢に挑戦してまいります。今の年齢だからできることをしたい、と思うんです。ジョージは31歳ですが、人生において壁にぶち当たったり、自分を見つめている。そういうキャラクターが、自分の心情とも合っています。

ソンドハイムは、昔からいつか挑戦したかったんです。宮本さんのおっしゃるように、台詞が音とすごく密接につながっている。音の調整がどんどん変わっていったりするんですけど、それも心情がともなっていたり、細かい音に細かいニュアンスがあったり……分析していけばしていくほどハマっちゃう。そんなソンドハイムの魅力の虜になっています。ただ、歌うのは難しいですね。例えば自分が普段話している東京の言葉は、平坦じゃないですか。それに比べて関西の方たちは、すごく抑揚のあるしゃべり方をします。これは英語のアクセントに似てるんですね。ですから、関西弁をしゃべっているような感覚で捉えると、歌にフィットする。だからといって関西弁で歌うわけではないんですが(笑)、そんなヒントをボイストレーナーの先生からもらったりして、いろんなことを試してみたりしています。

戸田恵子/ジョージの恋人ドット役

◆30年来の友人と20年ぶりにタッグを組む◆

2日前ほど稽古に遅れて参加して、扉を開けた瞬間にものすごい熱いみなさんのハーモニーが聴こえてきました。これはきっとPARCO劇場が壊れます!それぐらいの威力で、鳥肌が立ちました。そんな素晴らしい歌声の持ち主のみなさんと一緒にお仕事できるのはほんとに刺激的です。まだまだ勉強することがたくさんあるなと思っています。みなさんに追いつくべく、いつか追い抜くべく、がんばろうと思っております。

宮本亜門さんとは30年来の友人でありまして、お仕事をするのは20年ぶりぐらいです。初日にパワフルなご挨拶を亜門さんがしてくださって、健在だなと思いました。また一緒にお仕事ができることを嬉しく思っております。宮本亜門さんはもともと役者でいらっしゃって、その姿を記憶にとどめていらっしゃる方は少ないと思いますけれども、宮本亮次という名前で踊っていらっしゃいました。そんな時代から私はずっと見続けていて、あることをきっかけにお友達になりまして、それからずいぶん経ってからお仕事をした『アステア・バイマイセルフ』もPARCO劇場でした。そのときも、どんどんアイディアが出てきて、「どこにそんなに詰まっているの? 枯れていかないの?」と聞いたら、お尻を指して「ここに入ってるから!」って私に言ってくれたのを今思い出しました。ほんとにそこに入ってるかどうか、わかりませんけど(笑)。「いっぱいあるんだよ! 大丈夫だよ!」って。とにかく仕事をしている亜門さんはカッコいいです。パワフルで、アグレッシブで、ほぼ同年代ですが、まだまだがんばっていこうと誓い合いました。

諏訪マリー/ジョージ母役

母親と息子、その関係をずーっと一幕からやるわけですけど、母親の持ってる価値観とまるっきり違うところで生きている息子、世間ではヘンな奴、変わり者、変人と言われている息子に対して、母親が悩んだり、息子とどう付き合っていいのかわからない、そういう複雑な気持ちが母親の中にいっぱいあるんですけど、それをどうやって自分の中で演じていけるのか、少しでも、いえしっかりとその雰囲気が出るといいなと思っています。息子と母親が自分の気持ちを表す曲があるんですけれども、私が今回のミュージカルの中でいろんな曲がある中で、大好きな曲の一つでもあります。どんなふうになるか、自分でもまだ全然わからないですけど、自分なりにがんばります。

鈴木蘭々/セレステ役

宮本亜門さんとのお仕事は2004年『ユーリンタウン』から二度目になります。
使っていただいて、ありがとうございます(笑)。
前回よりもちょっとは成長したよね、って言われるように今回はがんばりたいと思います。よろしくお願いします。

春風ひとみ/イボンヌ役

PARCO劇場、そして宮本亜門さんとは初めてのお仕事になります。もうずーっとご一緒したかったんです。それと、私は宝塚出身なんですけれども、辞めてすぐに戸田さんのいらした薔薇座に出させてもらって、戸田さんとずっと共演したいと思っていました。すごく嬉しいです。「ミュージカルプレイ」ということで、最終的には音と遊びたいんですけれども、まだ音程といろんなことに振り回されて、まだ遊ぶことができません。初日までには舞台の上でおおいに遊べるようになるまでに持っていきたいと思います。

山路和弘/ジュール役

亜門さんとはすごく久しぶりのお仕事で、楽しみにしております。昨日亜門さんからソンドハイムさんのことをちょっと教えていただいたんですけれども、非常に難しいんですけれども、そんなに音どおりじゃなくても役者の気持ちとして歌ってくれ、みたいなことをおっしゃったのが、ホッとしました。でも、ついでに……そんなこと言うんだったらもうちょっと簡単な歌を作ればいいんじゃないかという気持ちもありました(笑)。とにかく宮本先生のご指導のもと(笑)、よろしくお願いします。

畠中洋/フランツ役

亜門さんとは昨年『ルドルフ』で初めてお仕事をさせていただいて、素晴らしくパワフルな方だなと。今回またご一緒できて本当に幸せです。じつは今日この会見が終わってから、立ち稽古に入るんですけれども、まだ全然自分の中で先が見えないというか、どう転んでいくんだろうこの作品は、という思いがあります。これだけ素晴らしいキャストのみなさん、スタッフさんに囲まれて、いろいろ稽古場で意見を戦わせながら、少しでもいいものをお届けできたらいいな、と思っています。がんばります。

野仲イサオ/本格ミュージカルデビュー

亜門さんとは初めてのお仕事です。昨年のオーディションで初めて選ばれました。僕は小学校1年生のときに通信簿で音楽で1をもらって、ずっとコンプレックスがありまして、音楽とは関係ないことをずっとやってきたんですが、同じ「1」でもこういった「一流」の方たちと一緒にできることは、この上ない喜びで胸がいっぱいです。今、いっぱいいっぱいですけど、精一杯がんばりますのでよろしくお願いします!

冨平安希子/ヨーロッパで活躍後、帰国第一弾

普段私はクラシック畑にいるものですから、このミュージカルが初めてになります(笑)。初めてなのに、こういった豪華な方々とご一緒に舞台に立てることはすごく幸せです。いつもテレビの中や舞台で拝見しているみなさまが、こんなに近くにいらっしゃるので、毎日刺激を受けて緊張しています。稽古中にも鳥肌が立つような瞬間が何度もあります。素晴らしい舞台に、心温まる舞台になると確信しています。そのお手伝いができるように、みなさんに遅れをとらないようついていきたいと思います。

岸 祐二/兵隊役

一幕ではワン、二幕ではアレックス役です。名前だけでも覚えて帰ってください、岸祐二と申します。私も畠中さんと同じで、『ルドルフ』で初めて亜門さんとご一緒しました。その際にとても勉強になったので、またご一緒できてとても嬉しいです。俳優という仕事をはじめて17年になりますが、いろんな仕事をしてきました。またこういう素晴らしいみなさんとご一緒できるということで、ほんとうに幸せを感じています。作品が成功し、たくさんのお客さんに見てもらえるように祈っています。

石井一彰/兵隊役

初舞台を踏ませていただいてからあまり時間が経っていないんですけれども、このような素晴らしいキャストの方々、演出の宮本亜門さんとご一緒できまして、嬉しく思っています。がんばります。

岡田誠/ミスター役

パリのアメリカ人という設定の役です。(舞台となる公園には)いろんな人が自分の人生を持ち込んでこの公園に集まるのですが、最初はなんでここにいるんだろう?と思えたのが、だんだん歌稽古が進んでいくうちに、すごく面白い作品だな、すごく身近な作品なのかなと思い始めました。とにかく音楽がいいので、ぜひ多くの人に聴いていただきたい、見ていただきたいと思います。本当に鳥肌ものです。ずっと歌稽古をやっているんですけど、本当に音楽がむちゃくちゃ良くて、これが舞台になったらどうなるんだろう、って今から楽しみにしています。微力ながら全力を出せるようにがんばります。見に来てください。

花山佳子/看護婦役

宮本亜門さんには20年ぐらい使っていただいてまして、恋愛のことなども相談に乗っていただいております(笑)。こう見えて私、虚弱体質で、ちょっと歌稽古を休ませていただいたんですが、出て来たらみなさんもう完璧に出来上がっていて、本当にすごいなと思いました。実力もあるし、みなさん陰でものすごい努力をする集団なんだ、と思い知らされました。負けないようにがんばっていきます。

堂ノ脇恭子/フリーダ役

今回は『太平洋序曲』に続いてソンドハイムさんの作品、難曲に挑戦させていただくんですけれども、最初の歌稽古で合わせたときに、もう一発でみんながすごいコーラスになっていたのにはびっくりしてしまいました。この作品で、亜門さんはきっとまた私たちをブロードウェイへ連れていってくださると思います。楽しみにしていますので、よろしくお願いします(笑)。亜門カンパニーはいつも異常なテンションで楽しいので、私はたいへんハマっております。

南 智子/ミセス役

私はとにかくがんばっていきます、ということで。歌稽古を積み重ねていく中で、じつは円陣を組んだりして稽古していました。そこに私も一人入って聴いていたりすると、わ〜、このカンパニーに入れてよかったなあってしみじみ思う瞬間が何度もありました。きっと舞台でもわ〜って思って、終わってもわ〜って思うことがたくさんあると思います。そんな素敵なカンパニーでやらせていただくことを楽しみにしています。