市川猿之助
横内謙介
市川右近
市川猿弥
市川弘太郎
市川春猿
市川笑三郎
市川笑也
金田龍之介 (友情出演)

市川 猿之助 いちかわ えんのすけ 
【屋号;澤瀉屋おもだかや】/演出・美術原案

  昭和14年(1939年)12月9日、三世市川段四郎の長男として東京に生まれる。昭和22年1月、東京劇場の『二人三番叟』の附千歳で、三世団子を襲名し初舞台。昭和38年5月、歌舞伎座『鎌倉三代記』三浦之助、『吉野山』の忠信、『黒塚』の鬼女(猿翁病気休演の為代役)などで、三代目猿之助襲名。同年、祖父猿翁(二代目猿之助)と父を相次いで亡くし、澤瀉屋総帥となる。
 昭和41年より自身の勉強会「春秋会」「おもだか会」を主宰し埋もれていた狂言や祖父譲りの舞踊を上演し、活動の場を自ら作りあげていったことが、現在の”猿之助歌舞伎”の源流となった。
 昭和43年4月、国立劇場の『義経千本桜・川連法眼館』(狐忠信役)で、宙乗りを復活し、一躍人気俳優となる。旺盛な意欲は祖父譲りで、その後も古狂言の復活や映像を使った新しい演出、歌舞伎の演技・演出術を使った新しい舞台の創造など、現代に生きる歌舞伎を目標に掲げ、常に観客の支持を受け続けている。
 昭和61年、歌舞伎の美意識・発想・演出法・演技術を駆使してスーパー歌舞伎を創演。第一作『ヤマトタケル』(梅原猛作、市川猿之助台本・演出・主演)は、それ迄の歌舞伎界の常識を上回る大入りを記録し、3年間で延べ10ケ月間上演された。(その後平成7年・平成10年に再演)
 更に、平成元年には中国の京劇との合同公演『リュウオー・龍王』を、3ケ月に亘る長期公演で成功させ、演劇史上画期的な舞台と絶賛され、この『リュウオー』の企画・演出と、『黒塚』の円熟した演技に対して、せい平成元年度の芸術選奨文部大臣賞を受賞した。その後も、スーパー歌舞伎では、『オグリ』『八犬伝』『カグヤ』『オオクニヌシ』『新・三国志』『新・三国志(U)』『同・完結篇』と9作品を上演。この『ヤマトタケル』や『義経千本桜・忠信篇』などを含め、これ迄に上演された当り狂言を選び昭和63年秋《猿之助十八番》を制定。  踊りも堪能で、祖父猿翁以来の芸を受け継ぎ、『黒塚』などの《猿翁十種》、『連獅子』などの《澤瀉十種》を制定した。
 海外での評価も高く、海外公演は昭和52年の訪英米加歌舞伎に座頭として参加して以来、数度に亘って行われ、昭和62年にはスペイン、フランス、イタリア、ドイツなどヨーロッパ公演を平成元年にニューヨーク、ワシントンでのアメリカ公演、平成4年にはポルトガル、ドイツ公演を成功させた。
 演出家としての活動も活発で、昭和59年(1984年)パリのシャトレ劇場でオペラ『コックドール〜金鶏〜』を演出したのをはじめ、ストレートプレイ『俊寛』(平成2年(1990年)・平幹二朗、太地喜和子主演)、『西太后』(平成7年(1995年)・藤間 紫主演) などの話題作を次々と手がけた。平成4年(1992年)のミュンヘン国立歌劇場のドイツオペラ『影のない女』(R.シュトラウス作曲)
では、歌舞伎の手法を多用して演出、名古屋で初演し、“東西文化の融合”とその成果が高く評価され、本場ドイツでも再演されている。
 また、自らの門下の若手俳優で組織する《二十一世紀歌舞伎組》を主宰し、『伊吹山のヤマトタケル』(1988年)や『雪之丞変化2001年』(1990年)といった歌舞伎をベースにした新作や、『梅川忠兵衛』『仮名手本忠臣蔵』(1992年)、『義経千本桜―忠信篇』(1993年)他を演出・監修し、未来に伝える歌舞伎を模索しながら、若手俳優の育成に努めている。
 平成12年4月、スーパー歌舞伎『新・三国志』において宙乗り五千回を達成、7月には歌舞伎座の「市川猿之助奮闘公演」連続三十年を数えている。
 ・1994年(平成6年)  外務大臣賞受賞
 ・2000年(平成12年) 紫綬褒章受賞
 ・2002年(平成14年) 第十八回浅草芸能大賞、
 ・2004年(平成16年)  第三回朝日舞台芸能賞特別賞受賞。
2004年(平成16年)の全国公演を終えてから病気休演し現在も療養中であるが、最近舞台演出を再開、本年3月新橋演舞場、4月福岡・博多座、5月大阪・松竹座、6月名古屋・中日劇場「ヤマトタケル」の演出をつとめている。


横内 謙介 よこうち けんすけ/脚本・演出
1961年生まれ 東京都出身劇作家・演出家・扉座主宰 日本劇作家協会副会長。
神奈川県立厚木高校在学中に演劇と出会い、処女作『山椒魚だぞ!』で演劇コンクール優秀賞を受賞。1982年、扉座の前身「善人会議」を旗揚げ。以後オリジナル作品を発表し続けている。活動は劇団だけにとどまらず、市川猿之助率いるスーパー歌舞伎や、V6など幅広く作品を提供する。また、厚木市ほか全国各地で行われる演劇ワークショップの講師や、国民文化祭ふくおかオープニングフェスティバル『人生号』構成・演出、愛・地球博『地球タイヘン大講演会』脚本・演出プロバスケットボールbjリーグ東京アパッチオープニングイベント構成、NHKBS2『深夜劇場へようこそ』司会、'06年フジテレビ系ドラマ『ダンドリ。』脚本等、活動の場を広げている。
1992年 『愚者には見えないラ・マンチャの王様の裸』にて第36回岸田国士戯曲賞受賞。
1999年 『新・三国志』にて第28回大谷賞を史上最年少で受賞
2004年  第37回北九州市民文化賞受賞


市川 右近 いちかわ うこん
 1963年11月26日、大阪市出身。立役。
 日本舞踊家元の長男に生まれ、8歳で歌舞伎の初舞台を踏む。子役で舞台出演中に声と勘の良さが猿之助の目に留まり、度々舞台に出演、1975年部屋子になる。
 1986年スーパー歌舞伎第一作『ヤマトタケル』で師匠演じるタケルの従者・ヘタルベ役を勤め、新鮮な演技で好評を得る。以後『義経千本桜』の狐忠信など師匠の当り役を次々に任され、二十一世紀歌舞伎組では1988年の旗揚げ公演より主役を勤める一門の筆頭。本年3月〜6月のスーパー歌舞伎「ヤマトタケル」では、段治郎とダブルキャストで主演している。
 オペラ演出や、外部公演も多く手がけ、多方面で活躍している。


市川 猿弥 いちかわ えんや
 1967年8月15日、東京に生まれる。立役。
 幼少から児童劇団に所属して活動し、猿之助の舞台に出演したことがきっかけで、1978年『加賀見山再岩藤』の盲目の志賀市役を勤め部屋子になる。
日本大学芸術学部卒。舞踊は基礎が備わり形が良く、台詞の間合いの良さもあり、持ち前の明るさも手伝って多彩な役柄を次々と演じている。
 歌舞伎組では『雪之丞変化2001』の女スリの手下・むく犬、『(同)2006』ではブンタと土部三斎、『西遊記』の猪八戒など。今年の『ヤマトタケル』では伊吹山の山神とヤイラム、夜の部は金田龍之介に代わり、帝を勤めている。

市川 春猿 いちかわ しゅんえん
 1970年11月29日、東京生まれ。女方。
 幼い頃から歌舞伎に興味を持ち鑑賞するうちに猿之助の舞台を見て憧れ、歌舞伎俳優を志す。国立劇場第九期歌舞伎俳優研修修了後、念願の猿之助の下に入門する。
 歌舞伎組公演では『雪之丞変化2001年』で伝法な女スリお初を公演。
 1991年7月歌舞伎座の猿之助奮闘公演『浮世風呂』で師匠の相手役・なめくじに抜擢され、その後も度々相手役に起用される。
 2006年7月坂東玉三郎監修『夜叉ヶ池』ではかつて玉三郎も演じた百合と白雪姫を勤めた。現代的な独特の個性を持ち、最近はテレビのバラエティ番組でも活躍中。


市川 弘太郎 いちかわ こうたろう
 1983年6月29日、東京生まれ、立役。
 幼い頃『ヤマトタケル』を見て市川右近に憧れて歌舞伎俳優を志し、3歳より日本舞踊家の叔母に舞踊の手ほどきを受ける。
 1993年第一回「市川右近の会」の『勧進帳』の太刀持で初舞台。
 1995年、週に一度猿之助に代わり右近がヤマトタケルを勤めた折、ヘタルベ役に抜擢され、その年の7月猿之助の部屋子になる。昨年3月慶應義塾大学を卒業し、役者修業に専念。早速、花形歌舞伎や舞踊公演に出演し、今年の『ヤマトタケル』ではヘタルベを溌剌と演じている。


市川 笑三郎 いちかわ えみさぶろう
 1970年5月6日、岐阜県に生まれる。女方。
 子供の頃から芝居好きで、中学卒業後、猿之助に内弟子として入門する。
 歌舞伎組の旗揚げ公演時は十代だったが、実年齢からは想像もつかないような大人の女性の役や老け役に取り組み、頭角を現す。1993年11月顔見世興行で猿之助演じる狐忠信に静御前の大抜擢を受けて後、次々に大役を得る。
 近年は『女殺油地獄』で中村獅童の河内屋与兵衛でお吉を、市川海老蔵の狐忠信に静御前を勤めるなど古典で活躍する一方、泉鏡花作品『山吹』(坂東玉三郎監修)の縫子という難役に挑戦した。今年3月までNHK-FM『邦楽ジョッキー』のDJも担当。公演の解説や一般向けの歌舞伎講座を任されることも多い。


市川 笑也 いちかわ えみや
 1959年4月14日、青森県八戸市生まれ。女方。
 歌舞伎とは縁のない一般の家庭に生まれ育つ。高校卒業後、歌舞伎の衣裳の美しさを学ぼうと国立劇場歌舞伎俳優研修生になる。猿之助に入門した当時は名題下俳優として女方・立役ともに修業していたが、『ヤマトタケル』初演時にみやず姫に大抜擢され、注目を集める。以後、師匠の相手役に起用され、歌舞伎組公演でも中心メンバーとして活躍。横内作品では『新・三国志』で“実は女”という設定の劉備玄徳、『雪之丞変化2001年』『(同)2006年』では医師タカミヤと雪之丞の敵の娘・浪路を演じ、男女を演じ分ける難役もこなしている。


金田 龍之介 かねだ りゅうのすけ / 友情出演
 1928年6月15日、東京都出身
 5歳から子役として歌舞伎の舞台などに立つ。新劇を経て劇団新派に入団し、伊志井寛に師事した。フリーとなってからは多岐にわたる活動をしており、翻訳劇から現代劇、そして時代物まで幅広いジャンルで活躍するベテラン俳優。敵役から三枚目まで、変幻自在な舞台ぶりは観客を惹き付けてやまない。また優れたセリフ術と圧倒的な存在感は、市川猿之助演出のスーパー歌舞伎でも大きな力となり、スーパー歌舞伎『新・三国志U』『同V』では、権謀術数の限りを尽くし、息子達を指揮して諸葛孔明やその後継者たちと戦う軍師・司馬仲達を好演した。その他、スーパー歌舞伎では『ヤマトタケル』『オグリ』『八犬伝-南総里見八犬伝』にも出演している。