たった今、彼氏の留守電に別れのメッセージを入れたアベコ (キムラ緑子)。涙にくれ、ため息をし、失恋モードにひたっているアベコの部屋にブザーが鳴る。「ピザアミーゴ!」別れの悲しみには場違いの、陽気で大きな声が響く。頼んでもいないピザの配達人が玄関に立っていた。ずうずうしくも堂々と入ってくるピザ屋の配達人、彼の名はドイッチ(川平慈英)。アベコの友人であるトリコ(三鴨絵里子)が、彼女の家を訪ねて来る途中で、注文してきたピザ屋だったのだ。これが、アベコとドイッチの出会いであった。

  出会って数ヶ月後、二人は同棲することに…。引越しの手伝いをしにやってきたオノッチ(森山未來)とその彼女のキヨッペ(堀内敬子)。オノッチは、ドイッチとは年の差離れた同僚である。貧乏だけど、「ビッグになるぜ、俺はイケてる」と、計画性もなく、勘違いしながら夢ばかり大きいオノッチ。そして、そんなオノッチの彼女のキヨッペは、オノッチよりも堅実派だが、先々の未来の不安は、オノッチと一緒に目をつむろうとする。引越しのお祝いに駆けつけたのは、アベコの友人トリコとその彼氏であるババ(近江谷太朗)。トリコは、自称“恋愛中毒”。不倫相手の彼氏が、ビクビクしているのが、たまらなく好きな、ちょっと変わったタイプ。一方トリコの彼氏ババといえば、不倫関係がぐしゃぐしゃになり、奥さんとも別れ、会社もクビ。慰謝料を払うため、目下パチプロを目指す。

  二人の引越しに集まったメンバーは、ドイッチ&アベコのカップルを、「お似合いではない」と、口々に話し出す。年恰好はお似合いだが、頭の中が違う二人。上昇志向のアベコに、三年寝太郎が理想のドイッチ。ずーっと寝っ転がって、ピザを食べて、ビールを飲みながらサッカーの試合を観ている…それがドイッチの理想なのだ。トリコは、アベコにとってのドイッチは、「失恋の癒しであって、恋ではない」と分析する。

  そこへ、ピザ屋の店長ムラキ(小林隆)が登場する。店長会議で、お祝いに駆けつけるのが遅れたというムラキ。ムラキは、重い口を開いて、会議の内容を切り出す。会議には、新しい経営者が出席し、「今後 40歳以上のアルバイターは、全員カット」の経営方針が打ち出されたことを告げる。42歳であるドイッチは、ショックから思わず部屋を飛び出して行ってしまう。

  後日、ドイッチとムラキは、ピザアミーゴの社長室へ向かった。 42歳のドイッチを特例として、再びムラキのお店で雇ってもらえないか直訴するためであった。社長のマキ(草刈正雄)は、ムラキに退席を命じ、社長室でドイッチと二人になる。マキはパソコンで、ドイッチのデータを見て、ピザアミーゴへの熱意を買い、正社員になることを薦める。しかし当のドイッチは、正社員よりアルバイトに魅力を感じている。ドイッチは、そのことをマキに訴え、正社員ではなく、アルバイトとして再び雇ってもらうという特例が認められた。しかし、この時、マキは、恋人であるアベコを彼から奪われたことを偶然知ることとなる。

  アルバイトを早引きし、その日の日給よりも高いピザを注文し、サッカーの観戦に夢中になるドイッチ。そんなドイッチを理解出来ないアベコ。価値観の違いで衝突する二人。

  約束があると言って、出掛けたアベコは、妙に着飾っていた。そこに、ドイッチへ見知らぬ女からの電話が掛かってくる。電話の主は、ピザアミーゴの社長マキの秘書であるミチル(伊織直加)であった。ミチルは、マキに想いを寄せ、マキの恋人であったアベコに嫉妬するあまり、ドイッチに二人のデートのことを告げ口したのであった。しかも、昔アベコはマキと付き合っていたことも教えてしまう。ドイッチは、二人のデートをレストランの隅から見張る。密会の親密ぶりに心が乱れる。そんな傷心のドイッチの前に、これまた傷心のキヨッペが現れる。キヨッペは、最近そっけないオノッチに心を痛めていたのだ。お互いを慰め合ううちに、お酒もまわり、二人は、ドイッチの部屋へ。一方、秘書のミチルは自分が告げ口したことを後悔し、マキに自分のしたことを告白し、密会がばれている旨を伝えてしまう。慌てたのは、アベコである。逆上するドイッチを恐れ、皆を部屋に呼んでしまっていたのである。酔っ払ったドイッチとキヨッペは、その場の雰囲気からキスをする…が、それがムラキに目撃されてしまったから、さあ大変!この最悪のシナリオの行方は、一体どうなってゆくのか!?
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