舞台でしか観ることのできない「女優・黒柳徹子」。
その「女優・黒柳徹子」が、ライフワークにしているのが1989年にピーター・シェーファー作『レティスとラベッジ』でスタートした「黒柳徹子主演海外コメディ・シリーズ」です。今回はシリーズ第22弾として、大好評を博したニール・サイモン作『ローズのジレンマ』を再演致します。
『ローズのジレンマ』は、『おかしな二人』や『サンシャイン・ボーイズ』などでおなじみの、“喜劇の王様”ニール・サイモン(1927年生まれ)の最新作。男女の恋愛の機微と、ゆるぎない家族愛を、上質な笑いとともに描いた傑作です。2003年12月から、オフ・ブロードウェイのマンハッタン・シアター・クラブで2ヶ月あまりの限定公演が行われ、翌2004年10月、“日本が誇るコメディエンヌ”黒柳徹子主演で、本邦初演しました。黒柳徹子の個性的な存在感と自在な演技が、ローズ役にピッタリとはまり、絶賛の声を集めた舞台でした。今回は新たに草刈正雄、錦織一清、菊池麻衣子と適役で豪華な共演陣を迎え、前回にも増して、とびっきり楽しく、かつ深い感動を呼び起こす、最高の舞台をお届けします。

「ローズのジレンマ」のローズとウォルシュには、実はモデルがいると言われています。それは、あの映画「ジュリア」や舞台「リリアン」の主人公でもあり、「子供の時間」(噂の二人)などの戯曲で有名な女流劇作家リリアン・ヘルマン(1905−1984)と、「マルタの鷹」で有名なハードボイルド作家ダシール・ハメット(1894−1961)です。ニール・サイモンは、二人の有名作家が生涯かけての恋人・パートナーとして共同生活をしていたという事実に想を得て、サイモンらしい洒落た会話とウィット溢れる笑いを駆使しつつ、ローズとウォルシュの大人の男女の愛と結びつき、さらにはその生と死を描きます。そして助手のアイリーンと若手作家クランシーを登場させ、みずみずしい若者の恋愛と、さらにローズとアイリーンの秘められた過去を描き、深い感動を呼び起こす作品に仕上げているのです。


自由闊達、才気煥発ながら、最愛の恋人を亡くしたことに深く傷ついている有名作家ローズを再び演じる黒柳徹子。今回は初演にも増して魅力溢れるローズに逢えるものと期待が高まります。そして、近年、ダンディぶりにますます磨きがかかり幅広く活躍中の草刈正雄が演じるのは、生前、女性にモテモテの人気作家だったという恋人ウォルシュの幽霊。斜に構えてつっぱっているけれど、どこか憎めない才能ある若手作家クランシーは、この夏23年間続けた「PLAYZONE」を打上げ、新たなステージへ踏み出す実力者、錦織一清が演じます。そして実務的な助手を務めているが実は・・・とローズとの間に秘密を持つアイリーンには、知的でチャーミングな菊池麻衣子が、第一子を出産後の復帰第一作として出演します。

演出は、1996年の『幸せの背くらべ』以降ほとんどの「黒柳徹子主演海外コメディ・シリーズ」を手がける高橋昌也。『ローズのジレンマ』の初演で見せた、細やかで心にしみる演出が、新キャストを得て、さらに輝くことでしょう。
見どころ満載の傑作感動コメディ「ローズのジレンマ」。
黒柳徹子と最強の共演陣、スタッフでお贈りする充実の舞台に、どうぞご期待下さい。