ハーパー・リーガン

パルコ劇場×長塚圭史の翻訳劇演出作品第4弾は、サイモン・スティーヴンスの『ハーパー・リーガン』に決定!
この時代に生きる私たちだからこそ感じてほしい物語です。

1年間のロンドン留学から帰国した長塚圭史。『アンチクロックワイズワンダーランド』では、劇空間における「言葉」の可能性を提示し、あらたな一歩を踏み出しました。
その長塚圭史が帰国後最初の翻訳作品の演出に挑みます。
今回は、イギリス人作家サイモン・スティーヴンスの『ハーパー・リーガン』を演出します。
これまで彼はパルコ劇場で、マーティン・マクドナー作品を三作演出してきました。マクドナー作品がアイルランドという「閉ざされた環境=田舎」の中で起こるドラマだとするならば、サイモン・スティーヴンスの本作品は「都市」という大きな環境の中で生きる私たちの心の闇と救済を描いています。1年間日本を離れ、ロンドンという「都市」で、多くの人々、様々な演劇的事件と出会った長塚圭史が、そこで吸収してきた「何か」をこの『ハーパー・リーガン』を通して提示します。

長塚圭史×小林聡美の初顔合わせが実現

この『ハーパー・リーガン』は長塚圭史がロンドン留学中に出逢った戯曲です。彼自身、今演出するならばこの戯曲を演出したいという強い思いから実現しました。
2002年『マイ・ロックンロール・スター』、2005年『LAST SHOW』、2008年『SISTERS』と三年ごとにパルコ劇場で新作を発表してきた長塚圭史ですが、その共通テーマは「家族」。今回彼が選んだこの『ハーパー・リーガン』も「家族」をテーマにした戯曲です。
その主人公ハーパー・リーガン役には久々の舞台出演となる小林聡美。他キャストには山崎一、大河内浩、木野花、美波をはじめ、多くの演出家から絶対なる信頼を集める俳優に加え、オーディションで選ばれた間宮祥太朗。個性的な俳優陣がハーパーの人生に関わる人々を演じます。
長塚圭史が描く『ハーパー・リーガン』の世界は、この戯曲に描かれている「都市」という混沌の中で起こる歪みや闇、そして人々の普遍の物語を提示します。

誰の中にもある『ハーパー・リーガン』の物語

ここに描かれているハーパーの人生の一部は誰もが思い当たること。
妻として、夫に対する不信感に悩むハーパー。
母として、思春期を迎えた娘をどう扱えばよいか考えるハーパー。
会社員として、上司のパワーハラスメントに悩むハーパー。
娘として、長年心にこびりついてしまった母親との確執について考えるハーパー。
そして一人の人間として、自分自身と向きあい、人生を歩もうとするハーパー。
きっとひとつくらいは自分とハーパーの共通点があるはず。
そんな身近な女性の物語がこの『ハーパー・リーガン』です。

あなたの欲しいものは何ですか?

誰もが一度は人生の壁にぶちあたった体験があるはず。その体験は例えば、どうしても許すことのできない出来事として心に刻まれたり、あるいは伝えたくても伝えられなかったあの一言がずっと心に残り、未完了となっていたり。しかし、その「壁」を越えなくてはならない時がやってくるまで、蓋をしたままになっていることがほとんどです。その壁の越え方は人それぞれ。
しかし、悩んだり、考えたりすることは、それは私たちがより善い人生を、あるいは幸せを手に入れたいと思うからかもしれません。

壁を越えるときに出逢うのは・・・・

もしも、人が幸せを、あるいは人生を全うするために超えなければならない壁があるとするならば、それは、もしかしたら、「許す」という言葉との出会いかもしれません。自分を許し、他者を許すこと。
妻であり、母であり、女であり、そして一人の人間であるハーパー・リーガンを通して、あなたの「旅」へ出てみませんか。どうぞご期待ください!